雑記
こんにちは。いつもありがとうございます。
今現在、榎田尤利さんの魚住くんシリーズと、水城せとなさんの『俎上の鯉は二度跳ねる』と木原音瀬さんの『こどもの瞳』の感想を書いてほしいとリクエストされているのですが、遅筆なうえに気のむいたものしか感想を書けないので、お受けしておいたうえ大変長らくお待たせしている状態でたいへん申し訳ないのですが、いったんリセットさせてください。
私などよりよほど気の利いた感想を書かれているサイト様ブログ様はほかにたくさんあると思いますので、どうぞ検索してみてください。

かといって、リクエスト以外の作品の感想がスムースに上がるわけでもないところが、悩ましく心苦しいところでございますが、勝手を申し上げてすみませんが、よろしくお願いします。
| 2009.11.20 Friday | [雑記]その他 | - | - |
『誘惑レシピ (3)』 楢崎壮太
誘惑レシピ3 (ドラコミックス 198) 『誘惑レシピ (3)』
 楢崎壮太/著
 コアマガジン ドラコミックス (2009.04)
 Amazon / 楽天 / コミコミ

チーズ専門店「マリアージュ」を舞台に繰り広げられる恋模様を描くシリーズの第3巻。

本郷からのアプローチでつきあい始め、徐々に本郷への恋心を自覚し始めた雄矢と、なかなか遠慮のとれない雄矢との間に距離を感じている本郷。まだまだ分かり合っているとはいいがたい二人の前に、雄矢のかかりつけ医の息子で医者の有馬が現れる。幼い頃から兄代わりとして傍にいたという有馬に対しては、雄矢はごく自然な明るい表情を見せた。自分に対しても見せないような満面の笑顔やはしゃいだ様子を目にして、本郷はまだまだ雄矢が自分に心を開いてくれていないことを思い知る。

素の雄矢と対話できる存在として有馬が登場したことで、いつも遠慮がちに微笑んでいるようなイメージの雄矢の本音に迫ることができる回だった。養父母に育てられたという境遇は既に出ていたが、彼の人となりの根幹をなす過去が初めて詳しく語られることになる。
雄矢の存在がいつもどこか希薄なのは――自分の感情をストレートに表現したり、自己主張したりという存在感がないという意味で――、彼がいつも自分を抑えているからだったのだと知る。実母にネグレクト(育児放棄)されて育ち、母親が交通事故で亡くなってからは施設で育った雄矢は、母親に嫌われないように我慢を覚え、愛されようと必死になり、そして愛されない自分を責めた。実の母親にさえ愛してもらえなかった自分は、人に愛してもらえる価値のない人間なのだと諦めていた。だから、本郷が自分を好きだと言ってくれることも完全には信じられず、よしんば今は好きでいてくれるかもしれないけれど、いつか嫌われてしまったらどうしようと心の片隅に不安が巣食っている。

雄矢のそんな怯えがどうしようもない隔たりとして彼と他人との間に壁をつくってしまう。本郷やともに働くスタッフたちはそれを敏感に感じ取っていて、有馬に見せる態度と自分達との態度の違いにショックを受ける。スタッフ達ならまだ、それが雄矢の性格なんだと寂しい思いを割り切れても、本郷はそうはいかない。雄矢のことになると独占欲も嫉妬心も強くなる彼は、だけど雄矢が生み出す隔たりを見誤ってしまう。その壁を前にして、自分が雄矢に欲されていない、拒絶されているのだと、雄矢は無理をして自分につきあってくれているのだと短絡してしまった。雄矢にとっては年上の頼れる男だった彼だけど、実際はまだ24歳の若造でしかなかったのだ。
有馬は雄矢の思考回路をよくわかっていて、雄矢は一生誰のことも好きになれないかもしれないと危惧していた。だから、同性とはいえ本郷という存在を雄矢が得たことを複雑に思いながらも基本的には祝福するスタンスをとる。しかし、兄貴分としては雄矢を泣かせるようなやつでは承知しないと、本郷に発破をかけようと余計なことを言ってしまったのもまずかった。
そして本郷は雄矢に別れを切り出す。雄矢の反応を見ようとした本郷は、けれど失敗した。雄矢は、夜の仕事に出勤する母親に向かって体調がわるいから行かないで欲しいとも言い出せなかった子供だったのだ。「行かないで」「そばにいて」と縋りつくことは、イコール自分のわがままでしかなくて、相手を困らせることなのだと雄矢は思っていて、だから本心がどうあれ本郷を引き止めることなどできるはずもなかったのだ。

気になった言葉がある。雄矢の、「僕はとても幸せな人間だ」というモノローグ。2巻でも、養父母がいるだけ自分は幸せなんだった、と語られている。彼が「幸せだ」と繰り返すのは、自分を引き取って育ててくれた義父母への感謝が根底にあるような気がする。その善良な人たちは、幼い雄矢を引き取って何度も「一緒に幸せになろう」と繰り返したから。このあたりのエピソードは「Yuriko's RECIPE」に詳しい。
自分は幸せだ、確かにそれは彼の本心だろう。けれども、自分はこれで十分幸せなんだから、多くを望んではいけないと戒めているようで、その諦めが悲しいように思われた。

別れた後も雄矢は、同じ職場で働く本郷に対して全然平気な顔をして振舞う。自分を抑え込んで我慢することばかり覚えた雄矢は、本郷に気をつかわせないよう、なんでもないよう振る舞おうとする。それが本郷には気にいらないし、逆効果なのだと彼は気づかない。
心が折れそうな雄矢は有馬に電話をかける。幼い頃から自分のことを見ていてくれたよき理解者である有馬に泣き言をいう。なんでも一人で抱え込んでしまっているのかと思ったけれど、有馬という存在がいてくれてよかった、と思った。雄矢のすべてを受け入れて、否定しないでいてくれる存在。これからは、本郷がその位置に行きたいと思っているわけだけれども、まだまだその域に達するまでの道のりは遠そうだ。

結局のところ、雨降って地固まるの格言通り、有馬がカンフル剤となって二人の関係は進展する。というよりも、ようやくスタートラインに立ったという感じだ。
ただ、雄矢が初めて自分の気持ちをぶちまけたことは彼らにとって物凄い進歩だ。これで一足飛びに何もかもがよくなるわけじゃないだろうけれど、少なくとも雄矢は自分の気持ちを伝えても本郷が困ったりしないこと、受け止めてくれることを知ったはずだ。それから、本郷が本気で雄矢のことを好きだと言っているということも、やっと信じ始められたはずだ。これから先、「本郷と幸せになる」という未来を見据えてくれたらいい。
雄矢の予防線は、自分に価値がないと思うことと、好きな人に嫌われたくないから誰のことも好きにならないということだった。本郷は力いっぱい雄矢を愛して、彼に長年しみついたそんな卑屈な思いをぶち壊してほしい。本郷はがちがちに緊張してる雄矢を見て気に入らなかったみたいだけど、好きな相手にドキドキなんてするよ。家族になんてドキドキしないよ。それが決定的な事実だと思うよ。

4巻への引きとなっているラスト、「Ueda's RECIPE」本編が収録されるであろう「誘惑レシピ」第4巻は12月25日発売です。聞くところによると凄くいいらしいので、とても楽しみです。


マンステール。ウォッシュタイプでねっとりとミルキーな味らしいです。
 

ヌーシャテル。白カビタイプ。ハート型のものが可愛いですね。
 
| 2009.11.08 Sunday | [BL漫画]楢崎壮太 | comments(0) | trackbacks(0) |
『誘惑レシピ (2)』 楢崎壮太
誘惑レシピ2 (ドラコミックス 185)『誘惑レシピ (2)』
 楢崎壮太/著
 コアマガジン ドラコミックス (2008.11)
 Amazon / 楽天 / コミコミ

チーズ専門店「マリアージュ」を舞台に繰り広げられる恋模様を描くシリーズ第2巻。

タクロー&岩塚が表紙なので二人がメインの巻かと思ったら、実は雄矢&本郷カプのページ数がほとんどでした。この2カプの話プラス、巻末には植田編フラグの短編が収録されている。

「Iwatsuka'S RECIPE」は1巻の終わりに収録されていた「Takurou's RECIPE」がタクロー視点からだったのに対し、岩塚視点の短編。タクローがユリ子さんによってマリアージュに連れて来られたあたりから、岩塚が意識し始めるあたりのエピソードになっている。
その後に描き下ろしになる「Takurou's RECIPE」が収録されているが、こちらはタクローがいつもつけているピアスにまつわるエピソード。タクローがつけているのは高校時代の元カノにもらったピアス。べつに彼女に未練があるというのでもなく、デザインが気に入ってつけているだけということで他意はないのだけれど、自分を好きな岩塚の前でツルッとピアスの由来を口にしてしまうタクローの無神経さが罪だ。
次の日、岩塚は珍しく仕事に遅刻しそうになりながら、同じデザインのピアスを探し回って買ってきた。他の女が贈ったものを身に着けてるのは我慢できないけど、せめて自分が買ってきた同じデザインのそれを着けてほしいと思って。子供みたいに独占欲むきだしで一所懸命の岩塚の姿に、タクローはほだされてしまうのだ。
タクローの耳に新しいピアスをつけてやりながら気分が盛り上がった岩塚が抱きしめてキスをして…、なところに踏み込んでしまった植田くん。…彼のそのクールさがおかしいったら(笑)

続いて、雄矢&本郷カプのお話。退院後、新しい仕入先を見つけるためにヨーロッパへ行っていたユリ子が、雄矢の22歳の誕生日を祝うために一時帰国してきた。雄矢の誕生日を知らなかった本郷は青ざめて、何か欲しいものはないかと訊ねるが、ただお祝いしてくれる気持ちだけで嬉しい雄矢は何も望まない。そんな遠慮がちで一歩引いた雄矢の態度に、本当に自分のことを好きなのかと、本郷は自信がなくなってしまう。
雄矢が多くを望まないのは彼の生い立ちのせい。ユリ子夫妻に引き取られて迎えた8歳の誕生日に、彼は初めて誕生日を祝ってもらった。幸せな幼少期を過ごしてこなかった雄矢にとって、自分が生まれてきたことをただおめでとうと祝ってもらえるだけで十分に幸せで嬉しいことだった。だから雄矢は多くを望まない。ただ本郷に「生まれてきておめでとう」と言ってもらえるだけで彼には十分だったのだ。
自分からアクションを起こすことの少ない雄矢が本郷に向かって、自分のそんな気持ちを正直に伝えたことで、やっと二人の関係は進展していくかに見える。本郷を嬉しがらせる言葉を無意識に口にする雄矢は、本当に本郷を酔わせる天才だ。彼のそんな無自覚なところはかわいいけれど、もっと根の深い「無自覚」が3巻でもまた波乱を巻き起こすことになる。
とりあえずは、やっと貫通したらしい翌日の朝、本郷からもらったプレゼントという名の愛が雄矢には重い。二人の価値観や意識の違いはいかんともしがたく見えるのである。

巻末に収録の「Ueda's RECIPE」は誰よりクールなホール係、植田に恋愛フラグが立つ話。
お相手は新キャラ。本郷の知人でフレンチレストランオーナーの三浦敦成(29)。育ちのよさそうなおぼっちゃんだ。
マリアージュにやってきては植田にちょっかいをかけているが、最初は植田がクールにあしらうのが気に食わないだけだったはずなのに、相手にされないことでムキになっているうちにいつのまにか気になる存在になっていたようです。ひょっとしたら自分は植田のことを好きなのかも…?と気づいた三浦の赤面っぷりに、育ちのよさそうなぼんぼんっぷりが見える。
終始、迷惑そうにしながら表情の変わらない植田の本心はまったく見えない。さてさて、どうなりますことやら。


2巻で登場したチーズもおいしそうだった。

ラクレットオーブンとラクレットチーズ。ハイジのチーズで有名なスイスの代表的なとろーりとろけるチーズ料理。食べたことないんだけど、食べてみたいなあ。
 

ラクレットとチーズフォンデュが同時に楽しめるオーブンなんてのもあるみたい。パーティー用によさそう。


タクローが常温でとけるのでスプーンですくってフランスパンにつけて食べるとおいしいと言っていたカプリス・デ・デュー。白カビタイプ。


名前だけ登場のヴァランセ。シェーブルタイプ(山羊のチーズ)で、てっぺんを切り落としたピラミッド型が特徴。
 
| 2009.11.07 Saturday | [BL漫画]楢崎壮太 | comments(0) | trackbacks(0) |
『誘惑レシピ』 楢崎壮太
誘惑レシピ (ドラコミックス 140) 『誘惑レシピ』
 楢崎壮太/著
 コアマガジン ドラコミックス (2007.08)
 Amazon / 楽天 / コミコミ

チーズ専門店「マリアージュ」を舞台に繰り広げられる恋模様を描くシリーズの1巻。

入院した母親・ユリ子に代わってオーナー代理をするため、マリアージュで働くことになった赤池雄矢。スタッフは皆のまとめ的な存在の本郷を始めとして、派手な外見で女性客に人気のタクロー、無口な岩塚は厨房メイン、一番年下ながらいつも冷静な植田と個性的な4人。
体が弱く軽井沢で暮らしていた雄矢は、21歳にもなって中学生と間違われるくらいに幼く見える。専門的なチーズの知識があるわけでもなく不慣れな仕事だが、お店の皆に迷惑はかけられないと彼なりに一所懸命頑張っている。
一見怖そうに見える本郷に雄矢はちょっとだけ苦手意識を持っていたが、怖いと思ったのは最初だけで、チーズの知識を教えてくれたり、失敗をフォローしてくれたりする姿に、徐々に惹かれていく。本郷もまた雄矢の世話をやくうちに可愛いと思うようになり、本郷のほうからキスをしかけたり独占欲を見せるようになる。

雄矢ってすごくかわいいんです。ぽやんとしてて、背もちっこくて、純粋培養されたみたいにふわふわしてて、いつもにこにこしてるイメージがある。頑張りたいっていう気持ちはあるけど、実力が追いつかなくて、たまに失敗をしてはひどく自分を責めて落ち込んでしまう。そういうところだけ見たら、なんだか愛されキャラとしてデキスギで鼻につくキャラクターかもしれません。こういう可愛らしさって胡散臭くて、実際こういうキャラって私の好みじゃないんです。なのに、雄矢のことはかわいいと思う。
雄矢にとっては年上で、仕事のできる頼れる男・本郷桜。下の名前で呼ぶとキレる本郷桜。雄矢が自分ではなくタクローを頼っちゃったりするとムッとして不機嫌になっちゃう本郷桜。一見オレ様そうなのに意外とスマートで、だけどちょっと嫉妬深くて余裕がないこともあるぞ本郷桜。意外と遊び人だったのか? イロイロ手慣れてるぞ本郷桜!
本郷が嫌がりそうだからフルネーム連呼してみました。
雄矢を可愛いと思う気持ちに正直な本郷が押して、雄矢も本郷への思いを自覚し始めた。そんな二人の恋はまだ始まったばかり。ねちっこいキスに過呼吸おこしてぶっ倒れたり、初めてのエッチでは入れただけで気絶したり。…お子ちゃまな雄矢相手に本郷が苦戦しそうな予感。そして、スタッフ全員でユリ子さんのお見舞いに行ったとき、本郷だけ残って聞いた雄矢の事情が、今後の展開の伏線になっています。

そんなメインカップルと同時収録の「Takurou's RECIPE」は、本編では脇役だったタクローと岩塚のお話。
女の子大好きで人当たりもよいタクローはセールストークも抜群で女性客相手の受けがいい。女の子のほうから告白されてつきあうのに、いつもその人当たりのよさが裏目に出てふられてしまう。一方の岩塚はゲイで、元彼ともめてるところをタクローに見られてしまうが、岩塚がゲイだと知っても動じず普通に接してくれるタクローが気になり始め、ナンパに見えて意外と生真面目でやさしいところを好きになっていく。岩塚は「遊びでいいからつきあって欲しい」と懇願するが、タクローはそんな彼を受け入れない。まっすぐに気持ちをぶつけてくる岩塚に、気持ちが揺れるのを自覚するものの、ノンケであるタクローはなかなか岩塚を受け入れることができないのだ。

タクローっていうのはいい加減に見えて、実は結構気配りができたりして人当たりがいいタイプ。そんな彼の表面を好きになった女の子達に告白されてタクローは付き合うけれど、すぐにその「誰にでも優しい」ところに女の子達は物足りなくなって、彼はふられてしまう。
タクローは、自分を好きになってくれる女の子達のことが可愛いんだと思う。彼の気持ちは決して嘘じゃない。けれど、それは「自分を好きになってくれた子だから」可愛いみたいな、本気の愛情がまだ足りないんじゃないかと思う。
そんなときに、タクローの表面の優しさも内側の優しさもすぐそばで見てしまった岩塚が、タクローのことを好きになった。他の女の子達みたいに、岩塚もタクローに告白した。けれどタクローは岩塚を受け入れられない。あくまでも「かわいい女の子が好き」なタクローは、同じ男で、自分よりもガタイがよくて、遊びでいいからなんて捨て身の本気でぶつかってくる年下の男のことを、他の女の子達みたいには気軽に受け入れてやることができない。
タクローが元カノとよりを戻すかもしれない、と思った岩塚はタクローのことを諦めて身を引こうとする。それを聞いたタクローは、岩塚のことが気にかかる今の状態で、他の女の子とつきあえないという心境を口にした。「自分を好きになってくれた子」のことを、タクローはいつのまにか「可愛い」と思い始めていたのだ。
実際、ふだん無口なくせに、ことタクローのことに関しては嫉妬深くて独占欲強くてなりふり構ってない岩塚の必死さは本当に可愛い。

そんな、マリアージュに生まれた二つのカップルからあぶれたもうひとりのスタッフ植田くん。描きおろし「恋人たちのレシピ」は彼目線からみたバカップル達の様子。
「バカップルばっかり」と溜め息ついてる植田くんに、まさかの恋愛フラグが立つとは思いもよらなかった2巻の感想はまた後で。


以下、ちょっと気になったのでコミックス中に登場したチーズを調べてみました。
まずは山羊のチーズ。シェーブルっていうのは山羊のチーズ全般を指す語なんですよね? 雄矢がカマンベールみたいで食べやすいと言ったものや、ぬか漬けみたいな後味がすると言ったものなど、色々あるみたいですね。
  


雄矢が聞き間違えた「クロミエ」(左)と「クレミエ」(右)。
クロミエは白カビタイプでカマンベールに似ているけど風味はおとなしく、クレミエは同じく白カビタイプでまるでバターのようなこくのあるチーズのようです。
 

タクローがチンしたカボチャにのせるとドロッととけておいしい、と言っていたクリームハバティー。


わさび味のクリームチーズ、ヴァルフレ・レフォールは、ホースラディッシュ(西洋わさび)が練りこんであります。


私はメジャーなところしか食べたことないのですが、色々ためしてみたくなりました。
カフェやレストランが舞台の作品は多いですが、チーズ専門店というところが目新しいのかな。といっても特別チーズ薀蓄のある作品というわけでもなく、タクローのセールストークにグラッと心ひかれるわけですね(笑)
| 2009.11.06 Friday | [BL漫画]楢崎壮太 | comments(0) | trackbacks(0) |
『キミは甘い甘い・・・』 花村イチカ
キミは甘い甘い… (ディアプラスコミックス) 『キミは甘い甘い…』
 花村イチカ/著
 新書館ディアプラスコミックス (2009.10)
 Amazon / 楽天 / コミコミ

ゆらゆらと潤むおおきな瞳に、ふわふわさらさらとふりかかる長めの前髪。さわって、舐めて、齧って、彼らが砂糖菓子でできていることを確かめたくなる、そんな繊細でふんわりとした絵柄。なのに、描かれるのは時に残酷なほどに痛々しい、ガラス片のような毒を内包している。クラスメート同士の恋愛を描く表題作「キミは甘い甘い…」シリーズのほか、読みきり「いばらが頬に傷むのです」は義兄弟、「トランキライズ」「コンポーズ」は幼なじみ、このコミックスに収録された3つのカップルは全員が17歳だ。
著者のコメントに裏テーマが「やりたい盛りの17歳」と書かれてるくらい、ピンク色のふんわりとした表紙絵からはついぞ想像もつかなかったくらいに、彼らはその表情で全身で恋心と性欲とをあふれさせている。

同級生の片瀬に片想いをしている小鶸は、トモダチでいられればそれでいいと思っていた。けれど片瀬にいきなりキスされて、好きだといわれて、つきあうことになって舞い上がって、なのに片瀬はキス以上をしてくれなくて…。「キミは甘い甘い…」というタイトルどおり、あっまあまなお話。
じれったいくらい、うずうずするピュアな感覚。だけど、やってることはバッチリえろいというアンバランスさ。思春期の少年達のもつあやうさが線の細い絵柄とよくマッチしている。ストーリーじたいは、とくになんということもない、恋しすぎて意識しすぎて相手の顔もまともに見られなくて嫉妬して…という定石どおり。3話めでは茶道教室の息子ということで小鶸の可愛くも色っぽい袴姿でのエッチも萌えどころ。

親の再婚で一年前に義兄弟になった同い年の聖司と淳。義理の弟である淳に抱く恋心を散らすために、家庭教師の先輩(高校OBの大学生)と身体の関係をもっている聖司。母屋でピアノを弾く淳のことを想いながら、離れの自分の部屋で先輩とセックスをする。つかのまカラダは満たされるけれど、本当に欲しい淳の心も体も手に入れることができないことに、聖司は苦しみ葛藤する。そのうえ、互いにセフレだと思っていたはずの先輩が、実は自分のことを好きでいてくれたのだと知って、どれほど自分が最低なことをしていたのかを聖司は思い知る。
人を好きになることは悪いことじゃないはず、幸せなことのはず…。それなのに、同性の、義理の兄弟に恋をしてしまった聖司はいばらの道を歩むしかない。そのつらさ、苦しさが心地よい痛みに変わったのは、淳がじつは聖司のことを好きでいてくれたと知ったから。初めて、好きなひととする幸せなセックスを知ったから。
ハッピーエンドみたいに見える。確かに気持ちのうえではそうかもしれない。けれどその両想いの陰には傷つけられた存在があることを忘れてはいけない。二人の恋を後押ししたかたちになった先輩、彼を傷つけたのは17歳の無神経だ。

「トランキライズ」「コンポーズ」で描かれるのは病的な恋。同じ団地に住む幼なじみの圭人と亜己。幼い頃から圭人は亜己の下僕。横暴な亜己の機嫌を損ねないよう言うことを聞きつづけてきた圭人。言葉と暴力での意地悪に、いつしかカラダの関係が込みになった。場所もかまわず奉仕させられたり、嫌がらせみたいに執着じみたセックスを強要されても、圭人は亜己を嫌いになれない。圭人を隷属させているはずの亜己が、まるで儀式みたいに圭人のつま先に口づけなんかするから。
ゆがんだ、ひどくいびつな二人です。オレ様体質の亜己が圭人に執着するのは誰より圭人が好きだから。他の誰とも話したり触れたりなんかさせたくないから。子供みたいにひどいわがままの独占欲で、圭人を束縛したがっている。圭人はそんな亜己に、従順に隷属しているように見えるけれど、圭人が亜己だけのものであるように、亜己もまた圭人だけのものなんだと感じることで、どこか亜己よりも優位にたっているように見える。
ひどく病んでゆがみきって、閉じた二人だけの世界。その隠微さを繊細な絵柄が緩和しているように見える。けれど、どこか焦点のぼやかされたおおきな瞳の不安定さ、それがクセモノだ。好きだと言われて喜ぶ圭人の表情は明るいけれども、アンバランスな深淵が垣間見える。解りやすいジ○イアン体質の亜己なんかよりも、ずっとずっと病んでいるのは彼かもしれない。
| 2009.11.01 Sunday | [BL漫画]その他作家 | comments(2) | trackbacks(0) |


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月と凌霄花
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