チーズ専門店「マリアージュ」を舞台に繰り広げられる恋模様を描くシリーズの1巻。
入院した母親・ユリ子に代わってオーナー代理をするため、マリアージュで働くことになった赤池雄矢。スタッフは皆のまとめ的な存在の本郷を始めとして、派手な外見で女性客に人気のタクロー、無口な岩塚は厨房メイン、一番年下ながらいつも冷静な植田と個性的な4人。
体が弱く軽井沢で暮らしていた雄矢は、21歳にもなって中学生と間違われるくらいに幼く見える。専門的なチーズの知識があるわけでもなく不慣れな仕事だが、お店の皆に迷惑はかけられないと彼なりに一所懸命頑張っている。
一見怖そうに見える本郷に雄矢はちょっとだけ苦手意識を持っていたが、怖いと思ったのは最初だけで、チーズの知識を教えてくれたり、失敗をフォローしてくれたりする姿に、徐々に惹かれていく。本郷もまた雄矢の世話をやくうちに可愛いと思うようになり、本郷のほうからキスをしかけたり独占欲を見せるようになる。
雄矢ってすごくかわいいんです。ぽやんとしてて、背もちっこくて、純粋培養されたみたいにふわふわしてて、いつもにこにこしてるイメージがある。頑張りたいっていう気持ちはあるけど、実力が追いつかなくて、たまに失敗をしてはひどく自分を責めて落ち込んでしまう。そういうところだけ見たら、なんだか愛されキャラとしてデキスギで鼻につくキャラクターかもしれません。こういう可愛らしさって胡散臭くて、実際こういうキャラって私の好みじゃないんです。なのに、雄矢のことはかわいいと思う。
雄矢にとっては年上で、仕事のできる頼れる男・本郷桜。下の名前で呼ぶとキレる本郷桜。雄矢が自分ではなくタクローを頼っちゃったりするとムッとして不機嫌になっちゃう本郷桜。一見オレ様そうなのに意外とスマートで、だけどちょっと嫉妬深くて余裕がないこともあるぞ本郷桜。意外と遊び人だったのか? イロイロ手慣れてるぞ本郷桜!
本郷が嫌がりそうだからフルネーム連呼してみました。
雄矢を可愛いと思う気持ちに正直な本郷が押して、雄矢も本郷への思いを自覚し始めた。そんな二人の恋はまだ始まったばかり。ねちっこいキスに過呼吸おこしてぶっ倒れたり、初めてのエッチでは入れただけで気絶したり。…お子ちゃまな雄矢相手に本郷が苦戦しそうな予感。そして、スタッフ全員でユリ子さんのお見舞いに行ったとき、本郷だけ残って聞いた雄矢の事情が、今後の展開の伏線になっています。
そんなメインカップルと同時収録の「Takurou's RECIPE」は、本編では脇役だったタクローと岩塚のお話。
女の子大好きで人当たりもよいタクローはセールストークも抜群で女性客相手の受けがいい。女の子のほうから告白されてつきあうのに、いつもその人当たりのよさが裏目に出てふられてしまう。一方の岩塚はゲイで、元彼ともめてるところをタクローに見られてしまうが、岩塚がゲイだと知っても動じず普通に接してくれるタクローが気になり始め、ナンパに見えて意外と生真面目でやさしいところを好きになっていく。岩塚は「遊びでいいからつきあって欲しい」と懇願するが、タクローはそんな彼を受け入れない。まっすぐに気持ちをぶつけてくる岩塚に、気持ちが揺れるのを自覚するものの、ノンケであるタクローはなかなか岩塚を受け入れることができないのだ。
タクローっていうのはいい加減に見えて、実は結構気配りができたりして人当たりがいいタイプ。そんな彼の表面を好きになった女の子達に告白されてタクローは付き合うけれど、すぐにその「誰にでも優しい」ところに女の子達は物足りなくなって、彼はふられてしまう。
タクローは、自分を好きになってくれる女の子達のことが可愛いんだと思う。彼の気持ちは決して嘘じゃない。けれど、それは「自分を好きになってくれた子だから」可愛いみたいな、本気の愛情がまだ足りないんじゃないかと思う。
そんなときに、タクローの表面の優しさも内側の優しさもすぐそばで見てしまった岩塚が、タクローのことを好きになった。他の女の子達みたいに、岩塚もタクローに告白した。けれどタクローは岩塚を受け入れられない。あくまでも「かわいい女の子が好き」なタクローは、同じ男で、自分よりもガタイがよくて、遊びでいいからなんて捨て身の本気でぶつかってくる年下の男のことを、他の女の子達みたいには気軽に受け入れてやることができない。
タクローが元カノとよりを戻すかもしれない、と思った岩塚はタクローのことを諦めて身を引こうとする。それを聞いたタクローは、岩塚のことが気にかかる今の状態で、他の女の子とつきあえないという心境を口にした。「自分を好きになってくれた子」のことを、タクローはいつのまにか「可愛い」と思い始めていたのだ。
実際、ふだん無口なくせに、ことタクローのことに関しては嫉妬深くて独占欲強くてなりふり構ってない岩塚の必死さは本当に可愛い。
そんな、マリアージュに生まれた二つのカップルからあぶれたもうひとりのスタッフ植田くん。描きおろし「恋人たちのレシピ」は彼目線からみたバカップル達の様子。
「バカップルばっかり」と溜め息ついてる植田くんに、まさかの恋愛フラグが立つとは思いもよらなかった2巻の感想はまた後で。
以下、ちょっと気になったのでコミックス中に登場したチーズを調べてみました。
まずは山羊のチーズ。シェーブルっていうのは山羊のチーズ全般を指す語なんですよね? 雄矢がカマンベールみたいで食べやすいと言ったものや、ぬか漬けみたいな後味がすると言ったものなど、色々あるみたいですね。

雄矢が聞き間違えた「クロミエ」(左)と「クレミエ」(右)。
クロミエは白カビタイプでカマンベールに似ているけど風味はおとなしく、クレミエは同じく白カビタイプでまるでバターのようなこくのあるチーズのようです。

タクローがチンしたカボチャにのせるとドロッととけておいしい、と言っていたクリームハバティー。

わさび味のクリームチーズ、ヴァルフレ・レフォールは、ホースラディッシュ(西洋わさび)が練りこんであります。

私はメジャーなところしか食べたことないのですが、色々ためしてみたくなりました。
カフェやレストランが舞台の作品は多いですが、チーズ専門店というところが目新しいのかな。といっても特別チーズ薀蓄のある作品というわけでもなく、タクローのセールストークにグラッと心ひかれるわけですね(笑)